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恋愛小説 ジンクス“7年目” 5

第五話      軽はずみ

 抵抗する間もなく、キスをされていた。
「駄目っ。」



って音も飲み込まれ。ぼんやりした頭が言っていた。
『この男、めちゃキス上手い!』
何が上手いって、優しいから。ほんの少し擦り合わせ、軽く、焦らす様に。
「んんん・・・・」
キスなんて、何ヶ月ぶり?最後にえっちした日の次からだから、半年ぶりかな?
「はうっ。」
別所のキスは刺激強過ぎるよ。舌がゆっくり内側擦ってき、スローモーションで私の弱いとこ探ってんのが分かる。誰かが頭の中で囁く。
『じっとしていれば良い。そうすれば彼、上手いから。反応見ながら気持ちよくしてくれるよ。』
今日は飲み過ぎた。
 ほんの少し、唇開き、許してしまう自分がいた。
「あはっ。」
って、自分じゃないんじゃ無いかって声が漏れて。
 だって、寂しいもん。心も寂しいけど、躯も寂しいもん。抱きしめて欲しくって、一晩中、撫でていて欲しくって。
 一度離れたはずの唇。それが耳元で囁いた。
「好きだよ。」
それから、打って変わった様な荒いキス。
 夢中でしがみつきながらどこかが冷静で、ポロンって、涙、こぼれたよ。
 別所は何も言わず、ゆっくり躯を放した。それから泣き出した私の顔に清潔な香りのするハンカチを押し当てた。
「ゴメンナサイ。」
何に謝ってるんだろう、私。っうか、卑怯だよね、泣くのって。
「彼氏、いるんだっけ?」
そう言われ、うなずいた。何となくカンづいてた。私が遠恋してる事、こいつは知ってるって。気持ちだけ取り残されてる事に気がついているって。
「それじゃぁ、こうしよう。」
そのでか過ぎる躯が私を抱きしめる。
「別れたら、つき合おう。正式に、ね?良いよね?」
絶対、私はおかしかった。
「うん。」
ってうなずいてたから。

 冷えたコントレックスいっぱい飲んで頭冷やした。もちろんシャワーも冷水で。でも、何だかどうにもならなかった。
 私の誕生日以来メールすら来ない。あの晩だってそうだ。本当は少しだけ期待していた。何を、と言われても困るけど、何かを。それなのに。やっとの思いで開いたメールは
『27歳の誕生日おめでとう。』
ただそれだけだった。他には何も無い。そしてあの晩以来、彼からの連絡も途絶えてた。
「忘れられてる?」
きっとそうだと思った。
「自分ばっかり。」
さすがに悔しくて。その夜は眠れなかった。自分ばっかりあいつの事好きで。いつでも気になっていて。阿呆だよ。
 きちんとした仕事を持っている、いい歳した女がさ。ちょっと好きな男にこんな、振り回されて。
 どうせさ、私から告白してつき合い始めたよ。だって、あの時の私は本当に彼の事好きだって、そう思ってたもん。佐々木君が他の子に気をとられてる事知ってて、二人がなんとかなる前にって、押し切ったの私だもん。
「ツケ、まわってきたのかなぁ。」
仕方が無いからさ、一晩泣いて諦める事にした。
 だから待ち受けも変えた。亀吉は可愛かったけど、もういい。
 あいつの思い出なんか、捨てちまえ!どうせ佐々木君だって、惰性でつき合っていたんでしょう?こんな私と。
 明日素面で、サヨナラ、言ってあげよう。



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あれっ。ちっと考えてた。
この手のキスは R15 だっけ!?
それとも R12 ? 結局年齢制限はいるのかなぁ?

by hirose_na | 2008-09-09 09:17 | 恋愛小説