人には言えない! 8
8 プロポーズ大作戦!?
ぼんやりと目を開け、起き上がるでも無く俺を見上げる彼女。見つめられている事に気づいてよったほんの少しの眉間のしわ。後悔、している?
「これでも着ろよ。」
とりあえず俺のパジャマの上下を渡す。かれた声で、でも明るく
「サンキュー♪」
って聞こえた。そのくせ指が白くなるぐらい胸元のタオルケットを握りしめていて。でもむき出しの肩といい、ちらって覗いている細い足首といい。こういっちゃ何だが、花嫁のドレス着ているみたいに綺麗だった。もっとも髪の毛はくしゃくしゃで、その唇は少し腫れているけれど。
俺は瞳に
“綺麗なウエディングドレス”
着せてやる事、出来るのかなぁ。そんな気持ちを
「ちょっとぉ。」
っていう声が遮った。
「ああ、ゴメン。」
見られて恥ずかしいって分かったから、俺は背中を向けキッチンへ向かった。それからオレンジジュース。いつもより少し丸い彼女の顔で、軽く二日酔いかもって気づいていた。
だぶだぶのパジャマを着ている瞳。ロールアップされた裾からちょこんと覗く足首。ずり落ちそうななるズボンを片手て押さえ、コップを受け取り、こくこくと動く滑らかな喉もと。掌で口元を拭い上目で俺を見たかと思うとさっとそらし。
「サンキュー。」
ってコップ俺に押し付けて。それが有り得んぐらい可愛くて。もう、俺の男心のツボを完璧に押さえていた。
自分が馬鹿だって、本当、正直、分かったさ。
こうなったら、さ。勢いだ。
「なぁ、瞳。責任とるからさ、また一緒に暮らそうか。」
カラになったコップを受け取りながらそう言った。
本当は俺なりのプロポーズのつもりだった。
18になったら正式に籍を入れるとして、それまで、やっぱり離れては暮らせないし、こんな危なっかしい娘を一人暮らしはさせられない。
それなのに。
「くやしいっ。」
彼女はぽろぽろと泣きはじめ・・・・。
「伊佐武なんか、大嫌い!大嫌いんだから!!」
え〜〜〜〜!そんなの有りかよ!
彼女は手近に有ったクッションで俺を思いっきり殴りだした。ぼすっぼすっ!ばふっ!!
「痛った!」
こいつ、本気だ叩いてる!?俺が持ってたコップ、飛んだよ!
「誰が責任取ってなんて言ったのよ〜!!」
叫んでは叩き。
「おいって、や、止めろ!!」
俺は必死で防御だぜ。でも、なに?お前の
“好き”
はそんなに軽い訳?一緒にも暮らせないの?俺34だぜ?もう結婚適齢期過ぎまくり。むしろ早く子供欲しいって年齢なのに!?それを妥協してるんだぜ?・・・・お前、俺の事好きって、言ったじゃん!!!
とその時、
ピンポ〜ン ピンポ〜ン ピンポ〜ン ピンポ〜ン
コレは、昨日の夜の再現か!? しかも今回もまたエントランスじゃなくて戸口で鳴ってるよ!って事は、ここのセキュリティーコード知っている、イコール 顔見知りってことだ。昨日にも増して嫌〜な予感がした。
「隠れてっ!」
とにかく瞳に命令していた。
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え〜と、どうして瞳ちゃんが激怒ったか、分かりますか?
男は駄目ですねぇ。女心が分かってないから♪
by hirose_na | 2008-04-14 21:17 | 恋愛小説