人には言えない! 5
5 我慢も限界
「お前、いつからそう言う子になったんだよ。」
こんな最低の夜に、それは追い打ちだった。
「こんな物、持ち歩いて。」
俺はそれを指で摘んで彼女の目の前で振ってみせた。年ごろの女の子が男に興味が無いってのも問題だと思う。けど、だからって言ってこれは無いだろう?
「何考えてんだよ。二次会に期待していたって?そんな、出会う男が全員いい男って限らないだろうが。馬鹿な男につかまったてひどい目に遭うのは女の方なんだぞ?第一、まだ子供のくせに。早いんだよ!」
睨み返す彼女は
「子供じゃない!!」
そう叫んでいた。
「もう子供じゃないもん!それに私、初めてじゃないし。」
それからぐっと胸を張った。
「よく上手だって言われるもん。」
「えっ?」
何を、なんて聞けない。かなり怖かった。それより
「なんだよ、それ。」
ここに来て初めてむしゃくしゃした気分になった。俺さ、そう言う事が無い様に、大事に育てて来たつもりだぜ?箱入りまではいかないまでも、死んだ兄貴や義姉さんに顔向けできない様な事にだけはならない様にって。
「へぇ、お前彼氏いたんだ。」
それは俺なりの強がり。
「んっ?まぁね。」
その曖昧ないいかたが
“ 違う”
って。彼氏はいないけど、そう言う男友達はいたって?
「なんだよ、それ。」
思わず彼女の腕つかんでいた。華奢で細いその腕を。
「ふざけてんのかよ。」
って。
「馬鹿。」
瞳は笑って、
「私、幾つだと思ってんの?もう、17だよ。」
って。
「まだ17だろうが!!」
それは今まで俺が自分にしていた言い訳ってヤツだ。
「援助している子なんか、伊佐武より年上ってのが当たり前だよ?」
そう子猫の様なあどけない目で見上げられ、何かがぶちぎれた。
「へぇ、そっかぁ。」
そのまま瞳を引き寄せる。彼女が期待しているような目で笑ったから
「んじゃぁさ、慰めてよ。この可哀相な捨てられた花婿をさ。花嫁の代わりに初夜、つき合ってよ。」
確実に、切れた。
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by hirose_na | 2008-06-04 17:34 | 恋愛小説