四番目の男 1 御曹司
王道の恋愛小説でもと思いまして。
初回は 御曹司編 です。
庶民には縁のないお金持ち。しかも家柄は松の上。
ま、普通に考えたら上手くいきませんわいな。
ってか、出会いが無い。
それでも、憧れてしまうんですよね〜♪
愛し合っていれば乗り越えられる、みたいな、ね?
* 四番目の男 目次 *
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Wandering NT
四番目の男 御曹司
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結婚式って嬉しいものよね。しかもこんなに晴れていて、良いお天気。風も穏やか。
ウエディングドレスはブランドもの。ブーケはアトリエ製作。ダイアは透明1カラットジャスト。
教会には大きなオルガンが有ってプロの演奏家がついてくれる。聖歌隊のコーラスも。
旦那様の年収は1千あるし、ちょっと年上だけど頼もしくって。
新居は賃貸だけど新築の3LDK、ペット可。近くに成城いしいが有って便利。
でも私はちっとも幸せじゃない。
4月1日の結婚式。最低。でも、笑わなきゃ。私が主役なんだから。
初めて彼に会ったのは去年の春。私の勤めるベンチャー企業に彼がやって来て様子を伺った。つまり、出資希望の偵察ってこと。
でも私は管理じゃないからそんなの関係ない。言われたとおり自分のやってる事の説明をする。
彼はとっても熱心に話を聞いてくれた。私は夢中になると周りが見えなくなるから、その事が嬉しくってはしゃいでいたんだと思う。彼の秘書さんがやれやれって顔をするまで、自分がしゃべりすぎている事に気づかなくって。
「いいんじゃないの?こういう子がいる会社だから伸びるんじゃない?」
その言葉がとっても暖かかった。
彼は何回かの訪問の時、必ず声をかけてくれた。
それからランチに誘ってくれた。こっそりと。行ったのは休日のイタリアン。小さなお店で彼の友達と奥さんが始めたって。そのご夫婦はとっても仲が良くってステキだった。
だから普通の恋だと思ってた。
彼は犬が好きだって言った。
「でもね、昔飼っていたゴールディが死んだ時とっても悲しくってね。それ以来飼う事が出来ないでいるんだ。」
私たちは公園で待ち合わせをして。ミニチュアダックスフンドを抱えてやって来た私を彼は喜んでくれて。一緒に散歩して、一緒に遊んだ。
今度ドックランに連れて行ってくれるって約束してくれた。
だからそう言う関係になるのもあっという間。
「好き。」
って彼が私の頭の上で囁いてくれるのが大好きだった。私のマンションで一緒の朝を迎えた時は、シナモンがずっとベッドのそばにいてとっても照れくさかった。それから
「二人で暮らすなら、シナモンにお嫁さんが必要だね。」
って彼は言った。
街を二人で手をつなぎ歩いていると、みんなが彼を振り返るような気がした。それにどこのレストランに入っても、案内の人はスマートな彼を見て、一番良い席に案内してくれる。
この人が私の彼氏なのよって、とっても誇らしい気分だった。
お気に入りだって言うピアジェの時計がとっても似合って、お金持ちなのもちょっと嬉しかった。
小説インデックス つづく
by hirose_na | 2008-05-04 00:27 | 小説インデックス