恋愛小説 ♡ トリート・トリート・トリート 5

5 再会

 その日以来、二人は暗黙の了解で“友達として”距離を置くようになり、たまにお互いを気遣うメールをやり取りするだけの関係になった。しかし色々な意味で痛手を負った七海は、またしてもぐうたら駄目女への道に戻りそうになり、軌道修正しなきゃと思いつつ、だらだらと過ごしていた。だから、また失敗するかもしれないと思いながらも別の美容室に行くことで気持ちを切り替えようと決心したのだった。

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by hirose_na | 2010-07-22 09:05 | 恋愛小説

恋愛小説 ♡ トリート・トリート・トリート 4

4 綻び(ほころび)

『何かが違う』
そう感じる女の直感はだいたい当たっている。
 かなりイケてて、優しい彼。仕事に謀殺され余裕のない七海なのに、隆君はいつもにこやかで、正に理想の彼そのものだった。そう、デートに遅れても、ドタキャンしても怒らないのだ。最初のうちは
『なんてできた人間なんだろう』
と感動していた七海だったが、やがてそれは
『似合っていますよ』
と勧められた髪型の、本当は口先だけの褒め言葉のような違和感を彼女に感じさせることになる。

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by hirose_na | 2010-07-18 16:15 | 恋愛小説

恋愛小説 ♡ トリート・トリート・トリート 3

3 新彼

「ねぇ、聞いた事ない? “H”の次には“I”が来るんだよ」
彼はベッドで何度も七海の顔を覗き込みながら、ふざけた会話で先を続けた。
「だから僕たちの間にも愛が有るんだって、信じてね、七海ちゃん」
「こうなる運命だったんだから」
「僕たちの関係をHだけで終わらせるなんて事、したくないなって思うんですけど、いかがでしょう?」

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by hirose_na | 2010-07-17 22:33 | 恋愛小説

恋愛小説 ♡ トリート・トリート・トリート 2

2 元カレの記憶

 初めて彼に会ったのは入社式当日の事だった。学生時代を真面目に過ごしレポートを仕上げる事に必死だった七海は、そのおかげで無事に就職できたとはいえ、女の子らしい綺麗さとは無縁で過ごしてきてしまった。おかげで当日は、ほぼスッピンなナチュラルメイクに、真っ黒なストレートヘアをゴムで結んだだけの、今時有り得ないスタイルだった。

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by hirose_na | 2010-07-16 22:31 | 恋愛小説