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フェルメール展

東京美術館 フェルメール展 行って来ました。




今回のブログは
『フェルメール大好き♬』
な方にはあまり向かない内容になっている気がします。

批判的、という事ではなく
(このブログに遊びにきてくださる方達はよくご存知だとは思いますが)
何もかも言われた事をそのまま飲み込める女じゃないの ♪

自分の頭で考える事が好き。

要注意!!

ヨハネス・フェルメール の本物は
レースを編む女 しか見た事が無かったのですが
光の使い方と細密描写が優れていると感じていました。
こちらの作品はとても小さく、密度を感じていました。

さて今回の展示、本当は行く予定は有りませんでした。
でもマイミクのナツ様(←さて、誰の事でしょう♪)が
非常に高く評価していらっしゃったので
本物を見て自分の感情を整理してみようかと思った訳です。

行く予定が無かった理由、これが私にとって重要でした。

フェルメールの中にある感情を私が読み取れなかったからです。

ピカソはいいんです、ピカソは。
見たままが全てだから。
でもこの方、作品が少なく、
色々な意味で主題の統一性を感じ取れないのです。

難しいんです!
解釈しきれないんです。
いつも頭で考えるのは後回しで、感じています。
その感じる部分、それがひねくれもの廣瀬には『きつっ!』なのです。

特に『ワイングラスを持つ娘』
は、テレビや写真で拝見する限り、物凄く苦手でした。
正直 ごにょごにょっ 気味が悪い・・・・!!

彼女の浮かべる薄ら笑いをどう読み取れば良いのか。
怖いんです、はい。

という事で、本物を見て、感じてきました。

絵の事は書き出すとキリが無いので
気になった作品だけ書いていきます。

《 リュートを調弦する女 》

今回最大の掘り出し物!!でした。
私はフェルメールらしさを感じるものを選べと言われたら
この一品かと思います。
これは、分かりやすいです♪(←ほっとしている)
絵の中に書かれているのは静寂。
静寂の色はアイボリー。
彼女が調弦しているリュートが奏でているのは
淡いローズピンク。
(でも調弦中だから密やかなの♪)
それから光差し込む窓の外、子供の声。黄色。
でもその黄色は音が通常聞こえる放射状に放たれているのではなく、
彼女の耳の奥に一筋、光の様に真っ直ぐに届いている。
インスピレーションにも似た瞬間かと思いました。
(普通の感想ですね。ふぅっ)

《 ヴァージなるの前に座る若い女 》

この絵を見て頷いた事。
“娘”ではないのです。“若い女”です。
最初 ”娘”と読んでいて
『老けてるなぁ〜』
って思ったものです。が、実物見て納得
ああ、そうか、でした。
“若い女”です。
瞳がね、憂いています。
「若さが無い〜、です。」
この絵は正面で見るより左斜めから見た方が好きでした。
彼女が何か話しをしたがっているかの様に見えました。

《 手紙を書く婦人と召使い 》

女性二人のコントラストが面白いです。
違う事考えてますから。

《 ワイングラスを持つ娘 》

今回一番回避したかった(おいおい)絵です。

これはあくまで私(しろーと)の感想ですからね。

絵を見た第一印象。
真ん中の男性は
“分かって”
いるという事。
彼女の感情を知っていて、それにつけ込む、というかなんと言うか。
場をコントロールしているのは 彼 です。

テーマは“飲酒の罪悪”(あっ、頭痛いっ・・・・)
酔っぱらった男性が必要以上に女性に媚を売っている。
ワインを手にしている女性はその彼の下賎なあり方に困惑している。
こんな感じで解説が有った気がするのですが・・・・。
私の受けた印象は違っていました。

酔っているのは彼女の方。
本当はほろ酔いのはずでした。
真ん中の男は酔っていますが、本当に飲んでいる以上に
酔ったフリをして彼女に絡みます。
彼女は彼が酔っているものだと信じ、
酔っぱらいの戯言に
『つき合わされている』
と見ている側(画家やギャラリー)に弁解し、
次の一杯を進めようとしている、そんな所でしょうか。
彼女は男性の行動を理由に自分の行動を正当化しようとしていて、
真ん中の男性はそんな彼女を知っていて演技を仕掛けていた、そんな感じです。
左端の男性はそんな騙され深みにはまる彼女や
狡猾な男性に呆れている、そんな感じがします。

そうそう、この女性も若くは見えないんですよ・・・・・。
もしかしたら そこ(当時の女性の年齢観)も
大事なポイントかも知れません。

所で、フェルメールの絵から受ける印象で
風俗を描いておきながら生活感の無さも特徴的に思います。
猥雑さが無い。
特にこの作品は、生き生きとした生活の描写が少ないと感じます。
まぁ、こういう ↓ 事です。
ワイン、そのツボ1つだけ?
それにつまみがオレンジって無いんじゃない?
ついでにグラスの数、足りてる?
酒飲み廣瀬、これじゃ飲んでる気にならないよ。
ってな感じですが。

フェルメールの絵で、向こうが白壁。
左手には窓。格子の床。この組み合わせが多いと感じるのですが、
同じ様に見えて主題がそれぞれ違うのも面白いです。


《 その他 フェルメール 》

フェルメールの絵の中で 美しい女性 って少ないですよね。
私的には
青いターバンの少女(真珠の耳飾りの少女)
以外、作者の愛情に因って美しく書かれている女性の存在 
を感じないのです。
こういところ、不思議な人だと思ってしまいます。
(ちょっと話しが飛びますが、
 青いターバンの少女で、システィーナ礼拝堂の
 デルフォイの乙女を思い出してしまいます。
 ある意味、似ていませんか?)

で、フェルメールの結論。

私が持っていない感情を沢山持っている人。
その為、私には理解しがたい部分を沢山持っている人。

光については色々と書かれているので
書きません。
あっ、1つだけ。
常に光が画面左から来ますよね。
筆の運びの為なのでしょうか。
モデルになる自宅の作りの所為でしょうか。
それとも、画家の 目 に理由がある???

《 その他 デルフトの巨匠 》

カメラオプスキュラ 
という技法を用いたいるという説明が有りまして
全体としてその影響を感じました。

面白かったのは ヘラルト・ハウクヘースト の新教会 2品
建物を正確に描写しながらそれを
魚眼レンズ
みたいに写してました。
頭の底で訴えて来る 違和感 に「おおっ!」でした。


《 この次に行かれる方へのご案内 》

出遅れました!
途中電車がおくれ、予定より1時間遅い10時に到着。
でも思ったより混んでいませんでした。
が、12時になって外に出ると長蛇の列!!
行かれる方、お早めに行かれてくださいね。

でもって、混んではいないというものの
展示している通路が狭く、結構押し合いになります。

見ている人達は(平日だったから?)みんなご高齢。
多分65歳以下の人って1割もいないんじゃないかと・・・・。
不思議な気分でした。
(ピカソ展はもっと若く、10代20代の人も沢山いて
 子連れも多かった。ちなみに廣瀬も子供達を連れてった♪)

館内は様式が古く女性用のトイレが少ないです。
ついでに、寒い。

アクセスは上野駅からすぐです。
でも公園の中を歩きます。
雨の日は少し嫌かも。
動物園とか西洋美術館とか沢山有って人の流れに注意してください。
動物園方向の右の脇に入り口上がり、
分かりにくいと言えば分かりにくいです。

学生の頃、上野のすぐ近くに住んでいまして、
上野公園はよくジョギングしてました。
アメ横もお馴染みさんで、久しぶりに
お菓子の二木
にも寄ってみました。
(ここ、その名前の通りお菓子が沢山有ります。
 品数がめちゃくちゃ多くって、デートで行っても
(何しろ上野近辺にあまり良いデートスポットは無いのだ)
『昔これ食べた!!今でもあるんだ〜』
 って盛り上がれると思います。)
忍ばずの池のほとりで野宿した事も有ったりして。あはははは。
ですからかなり懐かしかったです。

本当はフェルメールの後
レオナード・藤田展
に行く予定でしたが、
噴水の近くでアンデス音楽をやっている人達がおりまして
そこで1時間ハマッてしまい時間切れ。
カルパァンディナ
という二人組でして、
ギターがめちゃくちゃ上手くって立ち止まったのが運のつき。
音楽はロマっぽい感じに近かったです。

これからも上野で路上ライブの予定があるとの事。
お時間がありましたらぜひ、お勧め。
美術展に行くと私は頭がシェイクされた状態になって
非常に疲れるのですが、
その疲れがほぐれた感じでした。

今回の フェルメール・リポート 以上です。

行かれた方、ぜひあなたのご感想もお聞かせくださいね。

そうそう。(まだ書くんかいなって?)
美術展に行った後色々な人の感想も見たくてブログサーフィンするのですが
皆さん
『行ったよ。良かったよ。』
位しか書きませんよね。
アレは、なぜ???
物足りないと思うのは私だけ???

ついでに。
先日行ったピカソ展の感想は こちら

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* 追記 *

♀ 匿名様から ♀

『彼の青はただの三原色の青ではないですよね。
 深くて、濃くて、個性のある青。
 ターバンのやつだけじゃなくて、ほとんどの絵のどこかに青があって、
 それが小さくても奥行きになって眼を引かせる。』
って頂いたので、私自身の 青 の感想も ♪

彼の青からイメージするもの。洞窟。その地下に広がる湖水。
“ウルトラマリン”
の名前とは正反対の事をイメージしています。

透明度の高いブルー。
浅そうに見えてとても深く、手の届かない湖底を目の前に持ち上げてくれる。
闇夜の内では漆黒で、
光が差し込むと表面で乱反射する事無く
まるで吸い込まれる様に一筋になって届く。
色彩は 鉄紺 に ほんの少し 常磐碧 

こんな感じです。
(あ〜上手く書けているかなぁ)

同じ青でもそれぞれが持つ印象が違ったり
見解が違うのがこういうものの楽しみの1つですよね〜。

コメントありがとうございました!


♂ もっちぃ 様より ♂

日本の気候についてご指摘受けました。
その為、本来来る予定のお品物が中止になったとの事。
これで思い出した事を追記です。 

フェルメールの画面の空気は乾いています。
湿性が有りません。
空気の密度(物理的にこの表現は正しいかな?)
が非常に薄いのです。
その為空中に光が散らばらず、乱反射をしません。
だから対象物(この場合人物や服)に光が当たった時
陰影を深くしている、そんな感じがします。

これって皆さん心当たりが有ると思うんですね。
自分が昔住んでいた場所と今お住まいの場所を比べてみてください。
それぞれ、例えば海の近くだとか山間だとか都市だとか。
条件で空気の質感って違うと思うんです。
もしくは、
梅雨時の晴天の空気と
正月開けた頃の晴天の空気。
冬の寒い時期、乾燥している時期の方が
空気が“澄んでいる”と感じませんか?

この“冬”に近い乾いた空気を画面上に感じてきました。

素晴らしいと言われる画家の共通点。
これ、あくまで廣瀬視点ね ♪
その人の中にある空気の質感を画面上に映し出していると
感じさせてくれるという事。

面白いですよね。

もっちぃありがとね〜。

by hirose_na | 2008-11-20 18:41 | H の独り言