恋愛小説 ジンクス“7年目” 6 R15

第六話     梅雨前線

 雨雨雨。土曜日、朝から雨。つゆなんか明けたくせに。



コンビニに行く気もおきやしない。仕方が無いから洗濯機回してから気がついた。今日一日降るって言ってたから、一晩洗濯物家の中じゃん?しまった〜、明日にすれば良かったって。
 でも回しちゃったものはしょうがない。ぐるぐる。私と佐々木君の関係みたい。始めちゃったから仕方が無いかって。彼、きっとそうだよね。

 彼と知り合ったのは19の時で、すぐに恋をした。あの頃の私は沢山の人達と遊ぶのが好きで、いつでも友達と一緒だった。でもキャンパスで見かける彼はどちらかってと孤独ちゃん。だから
「寂しくないの?」
図々しい私は調査研究でペアになった彼にそう聞いていた。それを軽く受け流し
「基準はね、人それぞれでしょう?」
ってキレイな笑顔で笑う彼にやられたって感じだった。
 最初にキスしたのも私。彼に女だって意識して欲しくって。誰もいない教室の隅に追い詰めてキスしてた。
「ふざけてんの?」
あの時の思いっきり不満そうな声、覚えてる。だって私、胸まで押し付けていたもんね。「本気。」
そう言って彼の頭をつかんで引き寄せていた。今思えばよくやったもんだって思う。
 それから、初めてもこんな雨の日で。ずぶぬれの彼を私のアパートまで手を引いて連れ込んだんだっけ。
「洗濯させてあげるよ。」
彼のシャツひっぺがして、でもあの時はすぐ洗濯機を回す事なんかしなかった。だって、佐々木君のジーンズをどうやって脱がそうか、その事ばっかり考えてたから。
 乾いたタオル渡して、彼が身体拭いてる間にこの日の為に用意していたキャミワンピに秒速で着替え。
「背中拭いたげるよ。」
なんて言ってタオル受け取って、彼の後ろにまわって誘ったんだった。気配に振り向いた少し開いた唇奪って。首に腕からませて、呆然としている彼の腕の中に滑り込み、少し体重かけてベッドの方へ追いやった。
 軽く尻餅。私は彼を放さない。でも、彼の両手は後ろの方でベッドについたまま。
「ジーンズ。ベッド濡れるよ。」
「あっ、うん。」
軽く口付け交わしながら閉じた瞳の奥で、金属のベルトがかちゃかちゃなるのを聞いていた。で、頃合いを見てその思いがけずたくましい上半身を押し倒した。ジーンズが脱ぎやすい様に。足でジーンズの股の所を蹴飛ばして脱ぐのを手伝った事も覚えている。その成り行きで、彼の湿った両足の中に自分の足が収まった。彼が硬くなっていている事がとても嬉しかった。
 雨音のなか、唇が触れ合う音が狭い部屋に響いていた。それでも佐々木君は腕を私に回そうとしなかった。それどころか、融けそうな私を突き放し、
「何考えてんの?」
って。おかしいなって、私何度も好きだった言ったじゃない?それでもつき合っててくれたんだから、お互いその気だって思うよね、普通。いい加減、前に好きだった人の事忘れてくれたかなって、思うよね。
「第一、俺避妊具持ってないし。」
でさ、有ったら良い訳?そうだよね。
 だから私は自分でそれを取り出した。その箱に、彼、顔しかめてた。
「だって、好きなんだもん。」
何度も繰り返してきた言葉。彼、諦めたって感じで私の背中に、でも、優しく、腕を回した。
「俺でも良いの?」
って。
 その全部が雨の幻、だった?

 卒業の夜に
「仕事2年ぐらいして軌道に乗ったら落ち着くか。」
なんて言われた事も?そう言えば、あの日も雨、降ってたし。雨降るとさ、思考力鈍るよね。ああ、そう言えばいつだって彼は
『好きだ。』
って言ってくれた事無かったかも。私が
『好き。』
って言うと
『俺も。』
っては言ってもらえたけどね。やな事思い出しちゃたよ。
 気を紛らわせようとつけたテレビは、梅雨前線が発達している、そう言っていた。


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かなりぬるいのですが、性行為を連想させる言葉が出てきたので
R15って事でお願いします。もしくはR12 かな。



newvel  様にもお話を登録させて頂きました。
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by hirose_na | 2008-09-14 17:59 | 恋愛小説