四番目の男 4

 あ〜あ。もう誓いの言葉を言うだけなんて。こんな面倒な事二度としたくない。
 憂鬱そうな私の事を知っているせいか、旦那様は
「しっかり。」
って耳元で声をかけてくれた。多分こんな仕草もみんなにはらぶあまに見えるんだよね。
 
 その時、ばたんって大きな音で扉が開いて、南向きの扉からお日様が沢山差し込んで来た。



 
「何してんだよ、加藤!!」
そこにいたのは休暇でイタリアにいるはずのあの人で。
「何ふざけてんだ!!」
ざわめく人達の事押しのけるみたいにずんずん近づいて来て。
「優花も、何してるんだよ。」
って私の手をつかんで、走り出した。
「えっあっ、ちょっ・・・・!!」
みんながあっけにとられてた。私だって信じられなかった。目の前にこの人がいるなんて!!
 無理矢理押し込まれたのはおんぼろのレンタカー。ドレスの裾が扉に挟まれていたけど、翔はかまわずに発進させた。
 彼は何にも言わずにずっと車を走らせた。そして小さな家の前に車を止めると、脇に止めハンドルにもたれた。
「もう届け出、出しちゃった?」
「ううん。ううんっ。」
私は泣き出しちゃっていて、答えるに答える事が出来なかった。
 これが現実だって思えなかったから。
「まだ、だよね?」
彼の声は思いのほか優しくて。私は何回も大きく頷いた。彼は
「良かった。」
そう言って私を抱きしめた。

「ここが僕の産まれた家。」
彼はそう言ってその小さな家、とっても古い板張りの家を指差した。
「僕は妾腹なんだよ。」
それは初めて聞くお話。
 彼のお母さんはお父さんが正式に結婚する前からつき合っていて、
家柄があわないからと愛人の扱いを受けてたんですって。
結局本妻さんとの間には子供が産まれなないまま、奥様は亡くなってしまい、
お父さんの兄弟の子供達もみんな女の子で跡取りがおらず。
「僕が御曹司って言われているのは、成り行きだよ。」
そう言って肩をすくめた。
「でも優花の気持ち、うすうす気づいてたから潮時だなって思ってた。
君はこの世界で暮らすには正直すぎるからね。
だからって言って、君に愛人になってくれなんてどうしても言えなかったんだ。
優花に自分の母さんが味わった思いをさせたくなかったんだよね。」
彼は私の手を取るとそっと婚約指輪を外した。
「でも、もう一度考えてほしい。
愛の無い結婚するの?それとも苦労覚悟で僕と一緒になってくれる、
そんな勇気は君には無かったの?」
普通言う事が逆じゃない?そんな風に思いながら、私は嬉しかった。
答えずにいる私に彼は泣き出しそうな声で呟いた。
「本当は3ヶ月会えなくて君無しじゃ生きてけ無いって気がついたんだよ。
だから、お願い、僕と結婚してくれるって、言ってくれよ。」
それから涙で不細工な私の顔にキスをした。

 そして今の私に指には、彼の贈ってくれたリングが光っている。
 
                       おしまい
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by hirose_na | 2008-05-01 16:55 | 小説インデックス