恋愛小説 ♡ トリート・トリート・トリート

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 トリート・トリート・トリート 



本当はジャストフィットのはずなのに、ふとしたはずみで
『もしかしたら、もっと自分に合うモノって有るかもしれない』
そんな迷いを抱いた瞬間は有りませんか? 例えば化粧品・オーデコロン・美容室、お気に入りのショップにレストラン。そして恋人も……。
結局、一番最初が一番良くて、潤いを無くした後に後悔し。そのくせ戻りたくても戻ることはできずため息をつく。そんな女子、市川七海のお話です。


  ♪ 目次 ♪

第一話 梅雨のイタズラ (このページ下 ↓)
第二話 元カレの記憶
第三話 新彼
第四話 綻び(ほころび)
第五話 再会 
第六話 パーフェクト
第七話 トリートメント



 梅雨の季節も半ばを過ぎ、しとしとと小雨の降る窓の外を見上げながら、七海(ななみ)は中途半端に伸び始めた髪の毛の先をそっと持ち上げた。その反対の手には
『新店舗開店』
と書かれた美容室からのダイレクトメール。
「切りにいこうかな……」
最後にカットしたのは去年の12月。かれこれ半年以上もほったらかしの髪だった。雨が続きまとまりも悪く跳ねる上、いい加減、うざい。しかも当然見栄えもよろしくなく、26歳にしてそこそこの仕事をしている女子にとって、このままだと
“女失格”
に近いモノが有る。
「仕方が無いかな」
彼女は諦め携帯を取ると、見慣れない番号をプッシュした。
 三回のコールで答える店員の高い声。でも、キャンペーン中のお店はさすがに混んでいて、周りの雑音がうるさく
『どなたかご指名はありますか?』
の質問に
「あっ、いえ……」
口ごもった七海の戸惑いはかき消され、慌てて言っていた
「誰でも良いです」
の言葉だけが受話器の向こうに届いた。そして
『お待ちしています』
ごく当たり前の営業用スマイルな返事が繰り返された。
 本当は行きたくなかった。この系列のお店には曰く(いわく)が有ったから。それでも行く気になったのは、自宅のある駅のすぐ近くにできたから。しかも、この前初めていったお店には何となく相性の悪さを感じてしまっていて、リピートする気にはなれなかったのだ。
「そうだよ、彼にまた会う事なんかきっと無いんだし」
スケジュール帳に書き込んだ
“カット”
のオレンジの文字を見つめながら彼女は呟いていた。
 その日彼女が着ていく事に選んだのは、真っ白で体にフィットしたブラウスと、黒くてさりげなくデザインの凝ったパンツに、ボーナスをアテに買ったブランド物の大振りのバックだった。どこでもそうであるが、服装は重要で。美容室の人もお客の服装や雰囲気に合わせてスタイルを決めてくれる。だから彼女も
“できる女”
を意識したコーディネートにしてみた。勿論メイクも完璧に。二ヶ月前から使い始めた睫毛美容液が功を為し、ギュンギュンに伸びてくれた下睫毛にもたっぷりとマスカラを付け
「よし、完璧!」
彼女は鏡に向かって微笑んだ。
 元々が童顔で子供っぽく見られがちだった。
「良いじゃん、若く見られるから」
友達は笑うけど、七海にしてみれば
「子供っぽいのって、最悪。私は大人の女に見られたいの」
というのが主張だった。そのくせ、愚痴をこぼす頬は膨らむから、彼女を増々幼い少女のように見せているなんて、気づきもしなかった。
 そして定刻きっちりに彼女はお店のドアをくぐった。
「いらっしゃいませ」
心地よい挨拶の声、新しいお店特有の香り。
「予約していた市川です」
この日は特に酷い雨で、思ったよりも店は混んでいない。彼女は立っている人や座っている人たちの間にそっと目を配ばり、見知った顔がないかを軽く探った。絶対彼に会うはずが無いって思っていても、あの人がこのお店に来ている、そんな気がしてならなかった。もし会ってしまったらどうする?それは何度も自分に繰り返した質問。出て来る事答えはいつだって
“さりげなく自然に振る舞えば良い”
だった。でもいざ会ってしまったらきっと動揺し、平静なんか繕えないよなって思いながらもこの店を選んでしまった彼女がいた。
「これから担当の者が参ります。おかけになって少しお待ちくださいね」
ユニクロな感じでセンスを磨いているスタッフが若々しい笑顔を彼女に振りまくから
「は〜い」
彼女も空気読んで、にこやかで緩い返事を返す。だいたいこんな時は10分程度待たされる。だから彼女もそのつもりでヘアカタログの雑誌に手を伸ばし、ここまで来て今更ではあるが
「どんな髪型にしようかな」
と呟きながら、色とりどりの女の子達が幸せそうに微笑む写真をちょっと羨ましいなって思いながら眺めた。———そんな七海の様子を見つめている視線がある事にも気づかずに。


            続く♪

   

* 読まなくても良いあとがき *

お久しぶりに書いています ♪

今回の内容は、そうです!
“美容室を変えるという名の浮気”
なのです!

遅くなりました〜〜〜〜。

以前から手をつけていた話ですが、なかなか仕上がらずにいました。
そして聞いたのですが、
この週末に梅雨明けするかも、ですって!?
ヤバいです! またしてもお話がシーズンオフ!?

ということで、焦ってアップしちゃいました。

とりあえず全六話。現在最終話に手をつけています。
見直し次第、更新して行く予定です。

よろしくおつき合いくださいね♡



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by hirose_na | 2010-07-14 17:49 | 恋愛小説